飲食店の接客のコツ② オーダーから料理を提供するまでのマナー
![飲食店の接客マニュアル、オーダー時注文時の接客、料理を出す時の接客、居酒屋店員、お待たせいたしました](https://www.unisiacom.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/06/ac5019d2d6462f0bc729c2266f53379a.jpg)
飲食店の接客で一番間違いが多いのが、オーダーを受けるとき、そして料理やドリンクを提供する際のマナー。
特に料理をお客さまに提供するタイミングは、お客さまがリピーターになるか否かの重要な顧客接点でもあります。
繁盛店はこの重要性を理解しているので、料理を提供するタイミングでの接客をとても大切にしています。
ここでは、飲食店においてオーダーを受けるときから料理やドリンクをテーブルに提供するまでの接客のコツ、そして接客時の言葉使いまでを詳しく紹介していきます。
オーダーを受けるときの接客
メニューを提供する
お客さまを席に案内し、お水やおしぼりの後はメニューを提供します。
メニューは開いた状態で上座の人(もしくは上司、招待客、年長者、女性)から提供します。
家族連れの場合は上座に関係なく、子供から婦人、夫人の順となります。
『こちらがメニューでございます。』
お客さまはメニューを見ても、何が食べたいのか決まっていないことが多く、実は店のおすすめ等の情報を欲しています。
そのため、店のおすすめメニューや最新メニューについて、伝えることでお客さまの満足度が上がります。
おすすめを伝える際には、メニュー名だけでなく、何がおすすめポイントなのか、どんな料理なのか、ホールスタッフが全員説明できることが大切です。
すなわち、おすすめメニューや最新メニューでお客さまに提案するトーク内容は、常にマニュアル化しておき、情報共有を徹底させる必要があります。
オーダーをとる
オーダーをとるタイミングは店のルールやそのときの状況によって異なります。
例えば、席についてすぐにオーダーをとる店もあれば、オーダーが決まった段階でお伺いを立てるお店もあります。
まずは店として、どのタイミングでオーダーを受けるのか、決めておく必要があります。
少なくとも、オーダー前のお客さまの状況は常に把握しておき、メニューから顔をあげたらすぐにオーダーをとりにいきます。
お客さまが店のスタッフを探して『すみません、注文いいですか?』と呼ばせるような状況をつくらないことが肝心です。
オーダーが決まっているか、会釈をしてお伺いを立てます。
『ご注文はお決まりでしょうか?』
もしまだ決まっていない場合は、お辞儀をして、一旦その場から離れます。
『ご注文が決まりましたら、お呼びくださいませ』
接客時のお辞儀の角度は30度を目安にするとよいでしょう。
また提供までに時間がかかる料理については、事前にその旨を説明しておきます。
特に時間の無いランチタイムなどでは必須のマナーです。
そのため、時間のかかるメニューは、メニュー表にその説明を記載しておくほうが良いでしょう。
オーダーを受ける
笑顔は絶やさず、オーダーを伝票に記載しつつ、品目ごとに復唱していきます。
どのお客さまが何をオーダーしたのか、特に上座の人から覚えておくようにします。
その後の料理やドリンクをスムーズに提供することにつながります。
全てのオーダーを聞き終えたら、オーダーを復唱し、再確認します。
『ありがとうございます。ご注文を繰り返します。』
『○○でよろしいでしょうか?』
『かしこまりました、少々お待ちください。』
飲み物やデザートのオーダーを一緒に受けた場合は、それぞれ出すタイミングを確認しておきます。
シェアする料理があるのか確認し、ある場合は取り皿の枚数も確認します。
ワインや瓶ビールなどのオーダーがある場合も、グラスの数も確認します。
飲み物やデザートのオーダーを一緒に受けた場合は、それぞれ出すタイミングを確認しておきます。
『飲み物はすぐにお持ちしましょうか?』
料理やドリンクをお出しする際の接客
料理を提供するタイミングは店が評価される大切な顧客接点
お客さまが店を評価する心理のひとつとして、『ピークエンドの心理』があります。
人は何かの体験をしたときに、その体験を評価するのは、一番強い感情を抱いた時、そしてその体験が終わる時です。
店でいえば、料理が出てきて、お客さんが感動した時がピーク。
そして、お会計や店を後にするタイミングがエンドです。
人はこの二つのタイミングの出来事が記憶に強く残るため、そこでの接客が店の評価を決めてしまいます。
そのため、料理をテーブルに出す際の接客は、その体験を印象よく演出し、記憶してもらうためには、非常に大切なものとなります。
ピークエンドの法則を利用したサービスや接客については、こちらを参考にしてください。
料理を運ぶ際の皿の持ち方
料理を運ぶ際にはトレンチ(お盆)を使用するのは避けます。
トレンチは食べ終わった料理を下げる際に使用するものであり、清潔とは思われないもの。
そのため、料理は直接手にもって運ぶのが望ましいです。
また料理を運ぶ際には、両手ではなく、基本左手に乗せて運びます。
右手を空けておくことで、他のお客さまにトイレ等を尋ねられた際に手のひらで案内することができるからです。
またお客さまや他スタッフと衝突しそうなときも、右手を空けておくことで回避ができます。
料理やドリンクを提供する
厨房から料理が出てきたら、素早く取りに行き、お客さまに提供します。
料理は熱いものは熱いうちに提供することが大切です。
『お待たせいたしました、○○です』
料理を提供する際に、その料理の簡単な説明を添えることで満足度を上げることができます。
また、右利きのお客さまの手と提供する料理が接触することを回避するために、料理はお客さまの左から提供します。
他に注意すべき点は
・料理は両手を添えて提供する
・テーブルにはゆっくりと置く
・お客さまの頭上や背中ごしに提供するのは避ける
・料理がお客さまの正面を向くように提供する
・音を立てないようにする
もし複数名のテーブルでオーダーしたお客さまが不明な場合は、確認します。
『○○(料理名)はどちら様でしょうか?』
取り皿が必要な料理の場合は、追加の取り皿が必要か確認します。
オーダーの料理を出し終えたら確認し、会釈をして下がります。
『ご注文の品は揃いましたでしょうか?』
『ごゆっくりどうぞ。失礼します。』
食事中のサービス、皿の下げ方
空いているお皿を下げるときは、対象のお皿を手のひらで示しながら確認します。
『失礼します。こちら、お下げしてもよろしいでしょうか?』
料理は提供するときはゆっくりと、下げるときは少し素早く行います。
その際に料理はいかがでしたか、と聞くことでお客さまとのコミュニケーションをとるチャンスとなります。
料理を残していればその理由を確認することで、メニューの改善に必要な情報を収集することにもなります。
お客さまのお口にあわなかった場合は、申し訳ございませんでした、とフォローするようにしましょう。
料理の取り皿は都度取り替えるようにします。
ドリンクの残量が少なくなったら、ドリンクメニューをもって次のオーダーを確認します。
『お飲み物はよろしいでしょうか?』
グラスのお水が少なくなったら、グラスを自分の手元に移動し、継ぎ足します。
その際には、グラスの上(口をつけるところ)を持たないようにします。
『失礼します。お冷お注ぎしてもよろしいでしょうか?』
灰皿も吸い殻が3~5本前後入っていたら、取り換えをします。
灰が飛ぶのを避けるため、新しい灰皿を取り換え対象の灰皿の上にかぶせて手元に運び、そして新しい灰皿を提供します。
『失礼します。灰皿をお取替えいたします。』
食事が終わりそうな状況になったら、お茶とおしぼりを提供すると店の印象が良くなります。
まとめ
今回は、お客さまを席の通してから、オーダーをとり、食事を済ますまでの接客を紹介しました。
1、メニューは基本的に上座から、家族連れは子供から渡す
2、オーダーとりは、お客さまに『注文いいですか?』と先に呼ばれてはいけない
3、笑顔は絶やさず、オーダーを伝票に記載しつつ、品目ごとに復唱していく
4、料理を提供するタイミングでの接客は特に大切にする
5、料理はトレンチを使わず、左手で運ぶようにする
6、料理は冷めないように素早く、テーブルに置くときはゆっくりと
7、空いている皿、取り皿、ドリンク追加、水の継ぎ足し、灰皿交換には気を付ける
オーダーをとる、もしくはお客さまに何らかのお伺いを立てる際には、お客さまを見下ろす状態となることを避けるために、お客さまの目線よりも低い体勢で対応する店も多いです。
これもお客さまに満足してもらうための接客の工夫と言えます。
飲食店では、お客さまに美味しい料理を美味しく楽しんでもらうためにも、お客さまが席についてからの接客は重要です。
その接客でお客さまが満足するかどうかで、その日の料理の味も変わってしまいます。
お客さまには喜んでもらうためにも、今回紹介した接客を参考にしてもらえたら幸いです。
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